正規の金融機関から借り入れができず、「個人間融資なら何とかなるのではないか」と考えたことがある方もいるかもしれません。

SNSや掲示板で見かける「個人間融資」「即日対応」「ブラックOK」といった言葉は、一見すると救いの手のようにも映ります。

しかし、実態を調べていくと、そこには深刻なリスクと違法性が潜んでいるケースが非常に多いのが現実です。

この記事では、個人間融資とは何かという基本から、実際に問題となっている金利や仕組み

そして利用した場合に起こり得る危険性について、公的機関の見解も踏まえながら詳しく解説します。

個人間融資とは何か

個人間融資とは、本来であれば個人と個人が直接お金を貸し借りする行為を指します。

家族や知人同士で一時的に立て替えるような行為も、この言葉の本来の意味に含まれます。

ところが、近年使われている「個人間融資」という言葉は、この本来の意味とは大きくかけ離れているため、注意してください。

現在インターネット上で見かける個人間融資の多くは、闇金融業者が集客目的で用いている宣伝用の言葉に過ぎません。

実際には、特定の個人が善意でお金を貸しているケースはほとんどなく、不特定多数を対象に違法な貸し付けを行う業者が大半を占めています。

個人融資との違い

似た言葉に「個人融資」という表現があります。

こちらも闇金融業者が好んで使う集客ワードであり、実態としてはほぼ同じ意味で使われています。

厳密に言えば、「個人間融資」は取引行為を指す言葉で、「個人融資」は貸し手側が自称する肩書きのようなものです。

どちらであっても、不特定多数に反復継続して貸し付けを行う場合、貸金業登録が必要となります。

これは貸金業法で明確に定められているルールです。

貸金業登録と法定金利の問題

日本でお金を貸す業務を行う場合、金融庁への貸金業登録が義務付けられています。

また、登録業者であっても、利息制限法で定められた法定金利を守らなければなりません。

しかし、個人間融資を名乗る業者の多くは、貸金業登録を行っておらず、金利についても法外な条件を提示しています。

倍返しという異常な金利

個人間融資と称する取引で多いのが、「一週間で倍返し」「十日で倍返し」といった条件です。

たとえば、一週間で借りた金額を倍にして返す場合、利息は実質100%となります。

これを年利に換算すると、5200%以上という数字になります。

一年間その条件で借り続けることは現実的ではありませんが、短期間であっても、これほどの金利を支払う取引は極めて異常です。

個人間融資が招く典型的な悪循環

こうした超高金利の取引では、最初に借りられる金額もごくわずかです。

初回は一万円前後しか手元に残らないケースも珍しくありません。

そのため、返済時にはすでに資金が足りず、別の業者からさらに借りる必要が生じます。

このように、返済のために新たな借入を繰り返す状態を自転車操業と呼びます。

自転車操業に陥った時点で、生活はすでに破綻状態に近づいています。

精神的にも追い詰められ、冷静な判断ができなくなってしまうことも少なくありません。

トラブルが周囲に及ぶリスク

個人間融資を名乗る業者とのトラブルは、本人だけで完結しないことが多い点も大きな問題です。

申し込み時に提出した個人情報をもとに、職場や家族、緊急連絡先へ連絡されるケースもあります。

場合によっては、事実と異なる内容で請求されたり、精神的に追い込むような連絡が続くこともあります。

このような状況になると、自力での解決は非常に困難です。

困ったときは専門家へ相談する

個人間融資による借金問題は、一人で抱え込むほど状況が悪化しやすい特徴があります。

司法支援センターである法テラスでは、借金に関する無料相談窓口が設けられています。

収入や資産に不安がある方でも利用できる制度です。

また、消費者センターや警察、日本貸金業協会などの公的機関も、闇金融被害に対する注意喚起を行っています。

個人間融資は利用すべきではない

個人間融資は、正規の金融機関から借りられない状況にある方ほど、魅力的に見えてしまうかもしれません。

しかし実際には、金額に見合わないリスクを伴う取引であり、利用するメリットはほとんど存在しません。

今お金に困っている場合でも、まずは公的支援制度の対象にならないかを確認し、自治体や専門機関へ相談することが重要です。

借金の問題は、早い段階で第三者に相談することで、解決の糸口が見えることも少なくありません。

まとめ

個人間融資は、その名前とは裏腹に、違法な闇金融取引であるケースが大半です。

超高金利による返済負担、自転車操業への転落、周囲を巻き込むトラブルなど、失うものはあっても得られるものはほとんどありません。

お金に困っているときほど、冷静な判断と正しい情報が必要です。

一人で抱え込まず、必ず信頼できる窓口へ相談することを強く推奨します。